刃は今も満月になると怪盗ソウドとして、町を飛び回っている。


最近では見送りする事が日課となり、


「気をつけてね!」


「あぁ、いってくる」


ニャー


「ルナもな」


刃と付き合う事ができたおかげなのかわからないがルナがあたしに懐いてくれた。


刃がその場からいなくなった後、ふと空を見上げた。


思えば初めて会ったのもこのような空だった。


あの時、あたしが前の家でベランダにいなければ出会う事もなかったかもしれない。


『"空"は生命の還る場所でそれは地上の人々を見守る……』


美恵子さんに対して言ったのだと思うが、説得力のある言葉だった。


大切な人を失った気持ち。


あたしもそうだからわかる。