「俺は……」
そこまで言って、口を閉ざした。
盗みは犯罪だろ?
現にMHに向けて悪党だって言ったんだ。
けど、元はといえば俺が早く帰っていればあんな事は起きなかった。
責任だってある。
だから、
「やります。 大事な物を取り返したい」
奏さんに向けてはっきりと言った。
「……わかった。 けれど、怪盗は怪我やそれ以上のモノがつきものだから1年くらい修行する。 覚悟してね」
「はい」
一瞬、奏さんの目つきが変わった。
負けてられない、と思った。
「……刃は一度決めたら諦めない体質だもの、私も何かできるのか分からないけどサポートする」
「……え?」
「幼なじみだもの。 コレくらいはさせて?」
留宇はふふっといつものように笑っていた。
「あ、後は美恵子さんに言わなきゃね」
「……そうだな」
「「頑張って」」
「……」
こりゃあ、ひっぱたかれるレベルだな。
誰にも気づかれないように小さく息を吐いた。


