満月と怪盗と宝石と


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「なぁ、今朝のニュース見たか?」


「見た見た!」


「怪盗MH捕まったんだよな」


「オレ驚いたわ~」


……と賑わっている教室。


興味がないと言ったらウソになるがさりげなく自分の席につき、クラスメートたちを眺めていた。


『バラまいちまったんだ』


あの言葉が昨日から残っている。


どうすればいいんだ。


金持ちの家なんざそこら辺にある。


友達の中にもいるんだ。


話ても分かってくれねぇよな。


「刃!」


「……」


振り向くと留宇が後ろの席に座っていた。


「どうしたの、悩み事?」


「いや、そうなんだがな……」


どうしよう。


今までこの幼なじみに隠し事なんかした事は無い。


だが今回のはさすがに……


「刃、私の前で隠し事なんかするのは無駄よ」


「……」


見た目は鈍そうなんだか、実は意外に鋭い。


「……ここでは無理だ。 いつもの所でいいか?」


「うん♪」


――キーンコーンカーンコーン……


留宇が頷くと同時にチャイムが鳴った。