満月と怪盗と宝石と


「バラまいちまったんだ」


「…………どこにだ」


「それはオレにもわからん。 唯一は"金持ち"の所かな…ハハッ」


「……」


「まぁ、"ねずみ小僧"としてポイッと……」


――バンッ


「……っ゙!!」


「今のはワザと外した。 次は……」


グリグリと額に銃口を押し付ける。


「ねずみ小僧は悪党から金銭を奪い、貧しい人達に配るんだよ! てめぇは大悪党だろうが気取ってんじゃねーよ!!」


「イタい……」


気が済むまでやった後、


「……とにかく、お前の話は分かった」


拳銃を置き立ち上がる。


「……見逃すのか」


「違う。 後二分もしない内に警察が来る。 それで、捕まれ。 さもないと……」


「!?」


俺は男の顔を見ずにその場から立ち去った。