満月と怪盗と宝石と


―――――――
―――――
―――

学校が終わるとすぐに家に帰り、私服に着替え、すぐに英美術館に向かい、


今は英美術館の周りを覆っている森の中に身を潜めていた。


警察がパトロールをしているから見つからないかと内心冷ややかだ。


時計を見ると予告通りの時間一分前。


目を凝らして見ると、美術館のステンドグラスの近くに人影が……


「……そろそろ、か」


再び時計を見ると残り二十秒。



十秒。



五、四、三、二、一……


――ガシャーンッ


割れる音と同時にジリリリリッとアラームが美術館内外に響き渡った。


バタバタッと一気にその場が慌ただしくなり、


「予告通りにいただきましたよ!」


ステンドグラスから出てきたのは赤一色の怪盗。


笑い声を上げながら森の中に入っていった。


「逃がさねぇ」


捕まえて絶対取り返してやる。


俺は後を追いかけた。