二年後転機が訪れた。
その時、委員会が長引き、終わり学校を出た時空には三日月が浮かんでいた。
家に着くと真っ暗で母さんはまだ帰って来てないんだなと一発で分かった。
そのまま鍵を開け、玄関のドアを開けたと同時に、
――ガシャーンッ
何かが割れる音が家の中に響いた。
音の場所は、俺の部屋からだった。
嫌な予感がする。
駆け出し、勢い良く部屋のドアを開けた。
「……なっ!?」
そこにいたのは派手な赤一色を纏った男。
手にはダイヤの入ったケース。
予感が的中してしまった。
その男はニヤリと笑うと、
「確かにコレは頂きました」
と言って割れた窓から逃げ出した。
「……待てっ!」
俺はすぐに後を追いかけたが、森を出たときすでに男は近所の屋根を飛び回り姿を消していた。
……ウソ、だろ。
俺はその場に座り込んだ。
盗られてしまった。
大事な、父さんの形見が……!
「……っ」
こんな所で泣くわけにはいかない。
なのにもう少し早く帰っていれば、大事な物を守れなかったという後悔、悔しさが入り混じり、結果涙として目から流れ続けた。


