満月と怪盗と宝石と


それから数日後、葬式が終わり、周辺の人々はいつもの日常生活を送っていた。


だが、母さんは表向きは笑って接して、裏では父さんの写真を見て一人で泣いていた。


俺はそれを陰から見る度に苦しくなった。


そんなある日――


満月の夜に母さんが部屋に入ってきた。


手には七色のダイヤが入っているケースを持っていて、


「これ、光にかざしてごらん」


母さんに言われるがままやって見ると、色が変わったのだ。


「これねぇ、カイルの家では"男性"が代々受け継いでいくんだってー」


母さんは弱々しく微笑んだ。


「だから、刃が持って? そして、"心"から好きな人ができた時に見せるんだよ」


そう言うと、母さんの目から涙が流れ落ちた。


「……あの時もそうだったな。 『美恵子は美恵子のままで、この先も俺の側にいて欲しい』って、嬉しかったなぁ……」


涙を拭いながら母さんはふふっと笑い、


「いい加減に泣きやまなきゃね。 子どもに心配されるなんて私、お母さん失格だわ」


「……」


「よし、私頑張るわ! カイルの分も愛情注いであげるんだからっ!」


ニッと笑い、母さんは部屋を出て行った。