満月と怪盗と宝石と

〈刃side〉

木や地面に叩きつけられたせいで背中が痛い…なんて言っている暇は無い。


ななはなんて言ったんだ?


"泣きそうになっている"?


逆だろう。


――ポタポタッ


ななが泣いているんだろ?


あぁ、俺は泣かせてしまったのか。


「そりゃあ、あたしは刃みたいに完璧じゃ無いし頼り無いかもしれない。 それでもあたしはこれからも刃の"近く"にいたい!」


何を言っている。


そんな事は無い。


しかもなんだ、"近く"にいたいって。


俺は……


ななの……!


「あたしは刃の事が……!」


ななの言葉を遮るかのように抱きしめた。