満月と怪盗と宝石と


ここに来てから数ヶ月が経ち、分かった事。


料理が上手くて、頭も良くて……


小さく笑う笑顔も……


「あたしは刃の悲しそうな顔なんて見たくない! そりゃあ、怪盗ソウドだって分かった時は…戸惑ったけど……」


ここで泣いては駄目なのにっ!


ポタポタッと涙が刃の頬をかかる。


「……っく、もしかしたらって思ってた……だって怪盗ソウドの姿であっても……刃は刃でしょう?」


「……なな」


「そりゃあ、あたしは刃みたいに完璧じゃ無いし頼り無いかもしれない。 それでもあたしはこれからも刃の"近く"にいたい!」


"側に"とは言えなかった。


もしもの事があったらって思ってしまった。


でも、この一言だけは……


「あたしは刃の事が……!」


……言えなかった。







































刃に抱きしめられたから。