満月と怪盗と宝石と


「…………………………そんなに技かけたいほど怒ってんのか?」


「……違う。 でも、ごめん」


刃が振り向くと同時に襟をつかみ、足をけりはらう。


今の刃でば簡単にバランスを崩せる事ができ、あたしはあえて見逃さずそのまま地面に押さえつける。


だから、正面から向き合うことができた。


別に怒っては無いんですよ。


柔道技使う事はなかったんですよ!


「とりあえず、起き上がらせてくれ」


「嫌だ」


「なんでだよ」


「離すと刃がまた行ってしまうから。 それに…泣きそうになっている、から」


「……誰が?」


「今あたしの目の前にいる人!」


それを聞いた刃は目を見開いた。


「……」


「別に話したくないから黙っていたわけじゃない……」


一息置いて続けて話す。