〈刃side〉

『刃は恋に"恐れている"んじゃないの?』


留宇の言葉が頭に残っている。


「……俺らしくもねぇ」


はぁと溜め息をついた。


俺は家に帰る気は無く、近くの公園に立ち寄った。


遊具は砂場とすべり台、鉄棒しかなかったがどこか懐かしさを感じる。


「そういや、子どもの頃よく来たっけな」


ここで父さんとサッカーとかして遊んだ。


お昼になると母さんが作った弁当を三人で囲んで食べた。


『美恵子の料理は世界一、美恵子は宇宙一だな』


『やだー、カイルったらっ!』


『……』


仲良すぎる二人に子どもだった俺はかなり引いていたが、


『刃も美恵子のようないい女を見つけろよ』


今でもそう言った父さんの笑顔が印象に残っている。


俺はベンチに座り空を見上げる。


澄んだ青空が広がっていた。