満月と怪盗と宝石と


「……っはあ」


「話はよくわかった。 つまり、刃は恋に"恐れている"んじゃないの」


「……なぜそうなる?」


「それは自分自身に問い掛けてみたら?」


「……」


とっさに前髪から手を離した。


「一人で考えたい。 だから先行くな」


席を立って俺は喫茶店から出た。


喫茶店に入るよりもモヤモヤした気持ちが増していた。