満月と怪盗と宝石と


「悪い。 それは考えた事はなかった」


「はぁ!?」


アキラが驚いた声をあげた。


「だったら振られた方の気持ちも考えとけ……」


「……っ、いなかったんだよ!!」


「!」


「……」


アキラが目を見開いたまま、留宇は複雑な表情で俺を見ていた。


まぁ、無理も無い。


「初めて告白されたのが中一の時、一目惚れしたとの事だった。 理由は雰囲気が違うから」


「……」


「その後もそうだった。 理由を聞くと雰囲気が周りとは違う、纏うオーラが違うそういう理由がほとんど……」


俺自身が言っているのになぜか怒りが募ってくる。


「俺は全くそんな事は無い! 見た目で判断して欲しくねぇんだ! なぁ、そう思うだろ!?」


「……刃」


「だから俺は……」


「刃!」


「なんだ……」


頭をあげると同時に何かが口の中に入る。


口の中に広がるのは、甘い……


「……ぐっ」


とっさに口を押さえた。


「刃、落ち着いて」


留宇は水の入ったコップを渡す。


それを受け取り一気に飲み干す。