満月と怪盗と宝石と


「よしっ! コレ、食え」


アキラがフルーツののった一口大のケーキを俺に突き出す。


「いや、いい」


俺は顔を逸らした。


「いいから食え」


命令すんな。


「はぁ……」


仕方ない。


俺はフォークを持っている手を左手で掴み、


「おあっ!?」


曲げる部分に右手で手刀をくらわす。


――パクッ


「……」


逆に食べさせられたアキラは口を動かしながらふてくされた。


「……ふふっ」


それを見ていた留宇が小さな笑い声をあげた。


「……なんだよ」


「……!」


俺は訝しげに留宇を見た。


なぜかアキラの顔が赤くなっている。


「ゴメンネ。 二人は本当に仲がいいなと思って…ふふっ」


「「……」」


俺とアキラは互いに目を逸らす。