満月と怪盗と宝石と


「はいっお待たせしましたー」


「おおっ」


アキラが感嘆の声をあげる。


「奏さんどうしたんですか?」


留宇が心配そうに奏さんに尋ねた。


「うん。 アキラクンの発言に驚いちゃっただけ」


奏さんは困ったように笑っていた。


「……奏さん慌てすぎですよ」


俺は半ば呆れていた。


「けどさー、俺は絶対刃は"恋"に目覚めたんだと思う!」


ケーキを食べながらアキラは呟く。


「まだ言うか」


「……てかさ…ソレ何?」


アキラが俺が手にしている物を見た。


「あ? 見れば分かるだろ」


俺のいつものはブラックコーヒーの事だ。


「刃は甘いものが食べれないのよ」


留宇はショコラケーキを一口サイズに切り分け口に運ぶ。


「刃、既に人生16.7年ムダにしてるぞ!」


「はぁ!?」


何言ってんだよ。