〈刃side〉

俺は今カフェ・クローバーに向かっている。


話があるからと留宇を呼んだ。


怪盗の正体がななに知られてしまい、どうすればいいか分からなくなってしまった。


それ以前に……


――ズキッ


「……っ」


胸が痛い。


「やっぱ、事前に話しとけば良かったな……」


だが時すでに遅し。


はぁと溜め息をついた。


「あれっ? 刃?」


後ろから見覚えのある声。


「…………アキラ」


「おー、昨日振りー!」


アキラが手を振りながら走って来た。


榎本第一の制服姿のままだ。


「……補習か?」


「まぁな。 さっき終わったばっかし」


なははっと笑っている。


笑い事ではないのだが。


「ところで刃はどうしたんだ?」


「俺は今からカフェ・クローバーへ行くところ」


「……一人で?」


「後からもう一人来るけど」


すると、アキラがうーんと考え始め、


「留宇さんか? だったら俺も行く」


「……そうだが、なぜアキラを連れて行なきゃならないんだ?」


半ば呆れながらアキラに聞いた。