満月と怪盗と宝石と


……?


「'どうしたの?'」


「'あ、ううん何でもない!'」


「'そう?'」


カイルはカップを渡して座る。


そしてパラパラッと何かをめくっていた。


冊子の題名が《すぐにペラペラ話せる日本語》という。


本当かな?


「'……カイルは日本語勉強中?'」


「'うん'」


そう言うとその冊子を両手に持ち、



「あ・か・さ・た・な」


と言い始めた。


……。


「'えーと、もしかして単語だけ?'」


「'そうだけど?'」


キョトンとしている。


このままだと会話をできないのでは?


それはそれで……


「……」


私は意を決しすうっと息を吸って、


「'よかったら私が日本語教えてあげる'」


そう言ってしまったのだ。