満月と怪盗と宝石と


『あたし、思ったんだけど美恵子は彼に会いに行った方がいい!』


「ちょっと、いきなり何を言い出すのよ!」


梨緒の突然の言葉に驚くのはよくあったが、さすがに今回のは無理あるんじゃないの!?


『もちろんただっていうわけでは無いよ。 彼、引っ越し何でしょ? 片付けに忙しいと思うわけ』


「……で?」


『そこであえての手作り弁当を作るんですよ~』


……。


「……つまり私と彼がくっついてほしいと思ってんの?」


『うんっ♪♪』


認めるんだ。


「無理よ。 私にできる訳無いわ」


ハァと溜め息をつく。


『え~そんな事……』



「切るわよ」


『ちょっ! み……』


――ガシャ


梨緒の言葉を遮って電話を切った。