満月と怪盗と宝石と


――プルルルッ


その音にビクッとした。


誰からだろうか?


「はい?」


まぁだいたい予想はつく。


『あたしあたし』


オレオレ詐欺みたいな言い方ね。


「……声からして梨緒でしょ?」


『うんっ♪』


なんか楽しそうだ。


「どうしたの?」


『いやぁ、美恵子はあの人とどうなったのかなって』


顔は見えないけど梨緒は絶対ニヤツいている。


あの人はカイルさんの事だろう。


「どうもしてない。 私今一人ですよ」


『えー! お隣さんになったんだからなんか話なよ!』


「自己紹介はしたわ」


『……他は?』


「それだけよ」


『……』


「梨緒?」


なぜ急に黙るの?


『美恵子、今から会いに行きなさい』


「えっ!?」


思わず叫んでしまった。