「えーっと、この先を右で……」
日曜日の正午過ぎの町をあたしは歩いている。
葬式を終えた後、荷物の整理をし、今日引っ越しの業者に荷物を星空家に運ぶように頼んだ。
今頃は荷物は届いているはず。
その後は家を売り、美恵子さんお手製の地図を手に星空家に向かっている。
「……もう少しかな」
星空家に近くなるたびに不安が増していく。
不安な事である一つ目はかつて住んでいた家を売ることだ。
けど、家を売ることを決意した時、おばあちゃんがお父さんとお母さんの荷物を引き取ってくれると言われた時、あたしはそれを引き受けた。
おばあちゃんは信頼できるから。
今はお父さんとお母さんの形見と言える物もおばあちゃんの家にある。
だが、一番不安なのは二つ目の事で、美恵子さんの言っていた『年上の子』の事だ。
年上と聞いて承諾した事を後になって後悔した。
それ以外の情報をなぜか教えてくれなかったから。
年齢や職業、一番大事であろう性別も――