満月と怪盗と宝石と


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「'いやー、まさか君の隣の部屋だなんて'」


「'私も紙を見たときにえっと思いましたね'」


すると、彼は何かを思い出したように手を叩いて、


「'名前を言うのを忘れていたよ。 俺はカイル'」


「'……星空、美恵子です'」


私の中ではそう名乗るのは複雑だった。


「'星空? キレイな名字だね'」


「'よくいわれますね……'」


小さく目を逸らす。


カイルさんは知るはず無いもんね。


「'……じゃあ、私これで失礼しますね'」


「'……え'」


私は頭を下げそのまま自分の部屋に入った。


――バタンッ


「……はぁ」


私はその場からずるずると座り込んだ。