「写真見たのよね。 あれは刃が小六の冬にとったのよ」
懐かしいわ、と美恵子さんは刃が先ほど小屋から持ってきた写真を見ている。
「刃はハーフなんですか」
「そうよ。 イギリスの血が混ざってるの」
うふふと笑う。
「ななちゃん……"星空"って珍しいと思う?」
いきなり何を言うのだろうか。
「えと、初めはそう思いますが……」
でも、ステキですよ。
そう言おうとしたが、
「満天の"星空"のなか"美"しく恩"恵"を持つ"子"に育って欲しい」
「え?」
「星空美恵子って意味。 院長先生が名付けてくれたの」
「……」
それって、
「私は施設で育ったのよ」
美恵子さんの言葉は衝撃的だった。
「実際、私が施設の前に捨てられた時も皮肉にもキレイな夜空で…だからかな今でも"星空"って名字は好きになれない」
美恵子さん横顔はどこか悲しそうで……
あたしはどうすればいいのかわからなかった。


