「ななちゃん、次これ着てみて!」
「えっ!?」
お土産に持ってきた服を次々と着せてくる美恵子さん。
あたしは苦笑いするしかなかった。
「ななちゃん」
「はい」
「刃の正体知っちゃった?」
「はい。 ……え?」
あたしは驚いて美恵子さんを見た。
あまりに直球過ぎる質問だ。
「やっぱりね」
困ったように笑う美恵子さん。
「やっぱりって……」
美恵子さんは知ってたんだ。
「いつかそうなると思っていたわ」
「美恵子さ……」
「刃の怪盗姿は見たことあるんだよね」
「あ、はい。 それで刃だと知る前はよく話とかしていました」
「そう。 でも刃にもいろいろ事情があるのよ」
事情?
「……刃ってなんで怪盗になったんですか?」
「あぁ、それは私に聞くより本人に聞いた方がいいわ」
「そう、ですか」
「でもきっかけならわかるわ」
美恵子さんの青い目があたしを映す。
「七色のダイヤモンド…夫の"形見"だもの」
「!?」
形見!?


