満月と怪盗と宝石と


バッと振り向くとそこには刃がドアの前に立っていた。


「あ……」


「もう一度聞く、何をしているんだ」


「!」


雰囲気がなんかいつもとは違う。


「それは、ルナを追いかけて…この小屋に着いて…その……」


だんだん言い訳っぽくなっている。


あたしは刃から目をそらす。


ハァと息を吐く音が聞こえ、


「……そうか。 だったら今すぐここから出ろ」


「……うん」


なんでと聞ける状況ではなかったから刃の言う通りにした。


――グキッ


「いっ!」


「なな!?」


足を捻ってバランスを崩しクローゼットにぶつかる形となってしまった。


――バサバサッ


ぶつかったと同時にクローゼットが開き中から何かが落ちた。


「いったぁ~……」


頭をさすりながらクローゼットから落ちてきた者を見る。


「……え」


それは"白い服"だった。


白いシャツに白い帽子……


あの怪盗が身につけている物がなぜここに?


あたしはその場から動けなかった。