あたしの机を見て、
「終わったのか?」
と聞いてきた。
夏休みの宿題の事だろう。
「……まだ」
あたしは正直に答えた。
「……だったら今週中に終わらせとけ。 その次の日から留宇がガンガン予定入れてくるから」
「……留宇さんが?」
「あぁ。 ちなみに俺はもう終わらせた」
「速っ!!」
「いろいろと忙しいからな」
じゃ行ってくる、とケータイの画面を見て刃は部屋から出て行った。
――ミーンミンミンミン……
静寂な部屋には蝉の声が響く。
耳をつんざくような大きな鳴き声が……
……って!
――バンバンバンッ!!
「ちょっと! 窓に張りついて鳴くのは止めて!!」
あたしは窓を叩いて蝉を追い払った。
「……はぁ。 やりますか」
あたしは宿題を始めた。
――ミーンミンミンミン……
蝉の鳴き声イコール声援と置き換えながら。


