満月と怪盗と宝石と


その女性に見覚えがある――


「……美恵子さん?」


「えぇ」


「あらぁー、美恵子ちゃん久し振りねぇ」


「お久しぶりです。おばあさん」


そう言って美恵子さんはニコッと笑う。

星空美恵子(ホシゾラミエコ)さんは母梨緒の古くからの親友である。


綺麗な黒髪に透き通った青い目が特徴だ。


「あの……先程の言葉はどういう意味ですか?」


「え? あ、えっとね正確には『私の家に来ない?』ってことなんだ」


「み、美恵子さんに家に!?」


「ごめんね。さっきの会話聞いちゃったんだ」


「あぁ、それでですか……」


「だけど、ななちゃんの学校からの距離が遠くなっちゃうけどね」


「……そうですか」


「それに私の家にもななちゃんよりも年上の子がいるのよ。困ったことがあったら頼ってくれたらいいな」


年上?


「……わかりました、あたし美恵子さんの家に行きます」


「そう、よかったわ。じゃあ、もしものことがあったらこの電話番号に連絡してね」

そう言ってあたしに番号を書いたメモをくれた。


「では、あたし先に戻ってますね」


あたしはその場を立ち去った。