満月と怪盗と宝石と

〈ななside〉

はぁーはぁー……


荒い息遣い。


はぁーはぁー……


バクバクし続ける心臓。


そして、目の前に倒れている男。


はぁー……


「びっくりしたぁー……」


あの時、バランスを崩しかけたが、すぐに取り直し投げ飛ばした。


……気を抜いたからダメだな。


ってか、この後どうしよう。


どう見ても変質者だし。


年齢は三十~四十くらいで上下黒い服装で顔をフードで隠している。


警察に電話をするのが優先的だろうがあたしはあいにく携帯を持って無い。


ならば公衆電話だろうと思うがこの町には片手で数えられるほどしかないのだ。


ちなみにあたしが通る道には無い。


このまま帰るってのも変質者を見逃すみたいだから嫌だ。


「うーん……」


誰かが来るまで待つしか無いのか?


頭の中で試行錯誤していた。



……と、