「昨日隣町で変質者が出たらしい」


その話はHR終了後に聞かされた。


「特に女子は気をつけろよ!」


「解散!」と担任の斎藤は教室を出て行った。


すぐに騒がしくなる教室。


「なな、浮かない顔してどうした?」


すぐにあたしの席に来た利子ちゃんとちーちゃん。


「あたしにライバルができた」


あたしは机に突っ伏したまま答えた。


「え、まさか溝口さん!?」


「違う」


「じゃあ、年上の人?」


「違う」


一呼吸置いて、


「……ルナ」


と言う。


「「誰っ!?」」


「昨日刃が拾った黒猫!」


「……え」


「……はぁ?」


「刃にばっかりくっついてるの!


「「……」」


「あたしが名付けたのに、未だに撫でようとすると威嚇されるの!」


「正直言って、どーでもいぃ……」


利子ちゃんボソッと呟いた。


「利子ちゃんヒドい!」


あたしは必死なのに!