〈ななside〉

今日は満月だから怪盗ソウドに会えるから楽しみだ。


そしていつもの時間帯に怪盗ソウドは現れた。


だが、その瞬間にあたしは真っ青になった。


「か、怪盗ソウド……」


あたしは尋ねる。


「何?」


だって、


「ひひ、左手どうしたの?」


無いのだ。


「あぁこれ?」


そう言って、左腕を上げる。


コクコクと上下に動かした。


「置いてきちゃった」

「!!?」


笑顔で答えるな!


真っ青だった顔がさらに青くなった気がする。


「……冗談だよ」


「……は?」


「だってホラッ」


左袖をまくると左手が出てきた。


「えっ!? じゃあ"置いてきちゃった"って……」


「ウソだって!」


グーパーを繰り返しおこなっていた。


「良かった~……」


「え、まさか信じたの?」


「うん」


「えぇ~……」


怪盗ソウドは間の延びた声を上げた。