〈富澤真琴side〉

「うそ、だろ!?」


来るとはいえ、このタイミングで!?


「ま、待てっ」


男は今猫の捕獲に取りかかっていた。


しかしなんだ、この猫はっ!


すり抜けるは引っ掻くはで、警官らを苦戦させるのだ。


――ゴッ


「い゛っ」


他の警官と頭突きをしてしまった。


美空さんも悲鳴を上げるはで……


そうこうしているうちに猫が怪盗ソウドの肩に飛び乗った。


引っかく様子は無く、ただ撫でられて喉を鳴らしていた。


「真琴、見ていろよ! 俺が変わりに怪盗ソウドを捕まえてやる!」


何もしていないキカイが叫んだ。


怪盗ソウドが入口として割った窓に飛び移る。


キカイは黒い箱を怪盗ソウドへ向けて……


「今だ! "のびのび手錠"発進!!」


――ポチッ


同時に箱から飛び出た手錠が怪盗ソウドの左手首を捕らえる。


「どうだ?」


キカイが俺を見た。


見ると、怪盗ソウドは外そうともがいているではないか。