〈富澤真琴side〉
「あー……、いつになったら来るのでしょうか?」
「……」
「聞いておりますか、刑事さん?」
「聞いておりますよ」
俺は少々引きつった笑顔で答えた。
はぁ……
俺は怪盗ソウドを捕まえるために来たはずだ。
なのに、なぜ目の前にいる女性…溝口ジュエリーの令嬢と話をしなければならない。
「あの、美空さん? そろそろご自分の部屋へお戻りにならないと……」
「いやですわ!」
「えっ!?」
キッパリと断られ驚いてしまった。
「私はソウド様を見るまではお部屋には戻りませんわ!! パパに許可を頂きましたわ!!!」
ソウド"様"っ!?
「……そう、ですか」
はぁ……
心の中で二回目の溜め息をついた。


