「海斗」

一般には休みの土曜日早朝

曜日なんて、勤務時間なんてはっきり言って関係ない病院勤め

その日もしんと静まり返った朝特有の静けさの中

出勤準備を済ませ、玄関で靴に足を通していると背後から聞きなた声がかかる

振り返ると少し高い位置からしるふがこちらを見下ろしていた

「今日、早く帰ってきてよ」

理由は言わず、ただそれだけを告げる

一瞬交わる漆黒の瞳とブラウンの瞳

「わかった」

こちらも、なぜ、と問いかけずに頷く

「よろしくね。…あと、これ」

はい、と手に持っていた包みを差し出してくる

さすがに困惑の表情を浮かべた海斗に

「お弁当」

たまにはいいでしょ、こういうの

と少しはにかむ