「こないだ、って?」

「……将来は、俺の手伝いをする人になる、ってやつです」

「ああ! もちろん本気だよー」

「………」



マジでか。ほんとのほんとに本気だったのか、あれ……。

思わず頭を抱えてしまいたい衝動に駆られながらも、俺はなんとかそれを踏みとどまった。

そんな俺の心中もつゆ知らず、目の前にいる脳天気は「アオイくん、なんか顔色悪いよ?」なんて言っている。誰のせいだ誰の。



「あたし、ちゃんと調べたんだよ。弁護士のお手伝いする人って、パラリーガルっていうんだって!」

「へー……」



ざっくりしたその言葉に、俺は心のこもっていない相づちを打つ。

そんなこちらの態度に気を悪くした様子も見せずに、先輩はなんだかうれしそうなトーンで続けた。



「パラリーガルの存在意義は、弁護士の業務をサポートすることにあるんだって。まさにあたしにぴったり!」

「いやあの、そういうことじゃないと思うんですけど……」



嬉々として話す春日先輩に対し、俺は冷静な声音でつっこみを入れる。

そうしてひとつため息をつくと、先輩の肩にかかるさらさらの髪を見ながらまた口を開いた。