「──ってことなんだけど、どう思う?」



ダルさ満点の空気が流れる、月曜日の朝の教室。

あたしは先週の金曜日にあった出来事を、神妙な顔をしながら杏子に話していた。

彼女はずずっとブリックのストレートティーを吸い込むと、いつものクールな眼差しで言い放つ。



「どーもこーも。アンタ完全に、その年下弓道少年におちょくられてんのよ」

「うああやっぱりかあ~~ッ!」



半ば叫ぶようにそう言って、頭を抱えながら目の前の机に突っ伏した。

思い出すのは、めずらしく少しだけ笑みを浮かべた、彼の顔。
 


《俺のために、がんばってよ。春日先輩》



アオイくん、年齢のわりに大人っぽいしね。

年上でもまったく落ち着きがなくてぼんやりしてるあたしを、からかっているのかもしれない。


……でも、あのときの彼の言葉。



《何をそんなに悩んでるの? 全部完璧なものじゃないとダメなの? 完璧な理由が欲しいの?》 



いつまでも煮えきらない自分に、あれ結構、ズシンって響いたんだけどなあ……。