「はよーっす!」
ちょうど風がやんだ頃、とーさんが教室に入ってきた。
首元のネックレスが、チラッて光った。
その時あたしは思いだした。
天使の羽を。
そうだ。
アユミちゃんへのプレゼントのネックレス。
小さな天使の羽がモチーフのネックレス。
会わなくちゃ。
会わなくちゃ、渡せない。
渡さなきゃ、意味がない。
「ユウキくん」
アユミちゃんの落ち着く声が頭の中で響いて、彼女の笑顔が浮かぶ。
今…自分はユウキになっていた気がした。
バッっと、あたしは走り出していた。
「友紀?先生くるぞ?」
かずにいのそんな声が聞こえたけど、すぐ消えた。
昇降口まで言ったあたしはガラケーの方をとりだし、外へ出た。
ちなみにあたしは、携帯を2つもっていた。
一つはスマホで、一つはガラケー。
亜優と付き合い始めた頃、スマホを買ってもらったんだけど…。
アユミちゃんとの連絡だけは、ガラケーでしていた。
理由はまぁ、細かい事なんだけど。
あたしのガラケーは黒、そんでスマホは白地に一緒に買ってくれたリボンのカバー。
そんなスマホをアユミちゃんの前で使うわけにはいかないし、外すのも面倒くさいし。
そんな感じで2つ使う事になったのだ。
まぁ、連絡は某チャットサイトでしてるから、ほぼスマホだけど。
とにかくあたしはガラケーを使って、アユミちゃんにメールしようとした。
するとちょうどチャイムが鳴り始めてしまった。
なのであたしは<今度の土曜会いたい>とだけうって昇降口へ戻った。
その後――――アユミちゃんからは<OKだよ(^0^)>と返ってきた。
会いたかった。
なんとなくだが、会いたかった。