「友紀ちゃん彼氏できたの!?」

『しぃーっ!しぃーっ、杏梨、声デカイから!』

あたしの報告に、びっくりする杏梨。

その杏梨の大声に、びっくりするあたし。

…ニヤリ。

ああ…もう遅い。



休み時間なう…。

杏梨に彼氏出来た報告をしたら…


「とーさん!とぉーさん!!友紀に彼氏ができたぞおい!!」

「まじかおい!!友紀!!とーさん認めんぞ!!」


…騒ぎ出す二人…。

『とーさん』こと藤堂 芳樹-toudou yoshiki-。

そして『かずにい』こと市川 一弘-ichikawa kazuhiro-。


始まりは、とーさんというあだ名からだった。

二人はあたし&杏梨と同じ班だった。

「中学のころ、とーさんって言われてましたー!」という彼から始まり、この班では家族構成が出来上がったのだ。


あたしっち班は、あたし、杏梨、とーさん、かずにい、茉里-mari-さんの、5人。

茉里さん、通称『まーさん』が母。

とーさんはもちろん、父(親バカ)。

かずにいは長男(シスコン)。

あたしが長女で、杏梨は次女。


「へぇ~?友紀、彼氏出来たの?誰?」

『まーさんっ、…トップシークレットですよぉ』

「言いなさい?」

『ほへ?』

「ほら、さっさと吐きなさい?」


まーさんは…サディストだ…。



『…隣の組のっ、神埼…亜優君です』


「認めん!!断じて認めん!!」

親バカのとーさんは、ずっとそう言い続けてる。

「俺も認めねェ!亜優!?あんの女子顔やろーなんて認めねェ!!」

『とーさんとかずにいに認められなくてもいいんだけど?』

「…とーさん!とーさん、友紀、反抗期だー!にいちゃん泣いちゃうぞー!」

「あら?泣くの?かず泣くの?さぁ…泣き顔見せてみなさい、可愛がってあげるから。」

「まーさんごめんなさいすんませんでした嘘です」

まーさんとかずにいととーさんがなんか盛り上がってる…。


はーぁ。

アットホームなのはいいけど、こういろいろ広まっちゃうのはきついよぉ…。