「俺は由佳ちゃんとなら、たのしく生きていけるような気がするんだ。」
「・・・あたしも、優ちゃんと一緒にいるのは楽しいわよ。」
「ほんとに?じゃあ・・・」
優也の声のトーンが上がった。あたしはそれをさえぎるように、
「ちょっと待って。返事はもう少しだけ、待って。」
と言った。
「急なことであたしも動転してるの。1週間時間をちょうだい。」
「うん、わかった。・・・それじゃ、連絡を待ってるから。」
「じゃあね。」
あたしは電話を切った。

あたしは親に事情を説明し、1週間考えることにした。
結婚って、こうやって決めるものなのかな。
優也のこと、好きか嫌いかと聞かれたら、好き。
きっと大好きだと思う。
そうでなければ、2人で出かけたりしない。
だけど・・・。

あたしは、学校の帰り道、親友の亜由美に相談した。
亜由美は中学からの大親友。
高校になってクラスは違ってしまったけど、本当に大事な話は亜由美にしかしない。
「結婚ね・・・それはまた、急な話ね。」
「だから困ってるのよ。」
ふたりで公園のブランコに座ってあたしたちは話していた。
「由佳はさ、優也さんのこと、どの程度好きなの?死ぬほど好き?」
「あー、もう、そういう難しいこと聞かないで。死ぬほど好きだったら、迷わずその場で返事してるって。」
亜由美は笑った。
「そりゃそうだ。じゃ、なんで悩んでるの?結婚なんて、死ぬほど好きだと思わないとできないでしょ。」