「じゃー始めっぞ!」



そう言って、川村くんはロウソクに火をつけた




「わぁー色々ある!これ全部二人で準備してくれたの?」



「そーよ!せっかくなんだからたくさんやろうってちょっと張りきっちゃった…」



「ふふ、ありがとー!」




その中から一本、とる



ロウソクに近づけるとついたソレは



薄暗い海に煌めいて




季節はずれの花火が



こんなに綺麗だなんて





「たくさんあるからどんどんつけるぞー!」



川村くんは子供みたいにはしゃいで



そういえばあたし達



みんなもう大人なのに




おかしくて



でも楽しくて





「きゃっ!」


「あ、わり」



「ちょっと須嶋くん気をつけてよ!火つきそうだったじゃん!」



「たぶんついてもそんな熱くないよ」



「きゃー!!ちょっとこっち向けないでー!」



「ははっ」





須嶋くんの花火から逃げ回って



浜辺を走る




高校のときも夏に



4人で何度かこの海に来たことがあったけど



そのときとはまた違う




浜辺を走るのは気持ちがよくて




どんどんまなみん達から離れてゆく





少しスピードを落とすと


すぐ



須嶋くんに捕まえられた




「わ、離してー!」




うそ



本当は捕まえてほしかった




ずっと



今までずっと