王子様と恋したい



ガチャ



扉を開けると思いのほか強い風がわたしの髪をなびかせる。





「優…」




少し足を進めると、屋上のフェンスに寄りかかり海を眺める優がいた。




優「……なんだよ。」



ぶっきらぼうにこちらを向き振り向いてきた。



「別に。ただ優が一人で寂しそうだったからきてあげただけっ……海綺麗だね」



視線の先にはキラキラ光る青い海。
夕日のオレンジ色の空に照らされてほんの少し懐かしさを憶える…



いつしかこんな海を美華といっしょに眺めたことがある。
あの日もこんな海だったな…




わたしが思い出に浸っていると、となりから罰の悪そうな声が聞こえた。




優「あんさ…悪かった。」




「え…」




突然の謝罪につい目を見開く。




「だから!悪かったって言ってんだよ!!勝手にキレて悪かった…」



照れたように目を逸らしながらも、ちゃんと言葉にして謝ってきた。