階段を駆け降りると靴を履き傘を手に取る。


「柊哉? どこか行くの?」


「ちょっと、ちょっと出掛けて来る!」


そう言うと柊哉は家を飛び出した。


彩菜、まさかおまえ・・・


柊哉は傘を持ったものの差さずに走り出した。


おまえ・・・

また一人で悩んでるのか?


柊哉は直感で感じた。


彩菜は帰って来てないんじゃない、
帰って来ないんだと。
きっと今、一人で悩んでいるんだと。


彩菜・・・


何やってるねんおまえ・・・
何やってるんやおまえは。

何、一人で悩んでるねん!

おまえには頼る場所があるやろ、
おまえには俺がおるやろ!


柊哉には彩菜の居場所がわかるのか
迷いなく夜道を掛けて行った。