「行ってきます」


彩菜は玄関のドアを開け家を出ると。


「柊哉・・・」


柊哉も学校に向かう時だったのか、
家の中から出て来た。


柊哉は一瞬私の顔を見て、びっくりするように目を大きく見開いた。


はっ!!


私は柊哉から目を逸らし、顔を背けた。


私の顔、昨日泣いたせいで目が腫れあがってるんだ。


すると、柊哉は何も言わず歩き始めた。


「柊哉・・・」


慌てて手を伸ばすが止めた。


今の私には何も言えない・・・


彩菜は静かに柊哉の背中を見送った。