私を女手一つで育ててくれたお母さん、
そのお母さんを早く安心させてあげたい、
孫の顔を見させてあげたい。
その気持ちはいつも持っていた。

けど、私にはそれができなかった。
そう、私は柊哉が好きだったから。


他の人なんて考えられない、
柊哉意外となんて一緒にいたくない。
叶うはずのない想いにずっとしがみ付いて来たんだ。


でも、それももうできない。
私にはいろいろと時間が無い。

出産もあるし、お母さんのこともある。
それにいつまでも叶わぬ夢は見てられないんだ。


このままじゃお母さんに恩返しできない、
安心させてあげられない。
だから私はこの縁談は受けなることにしたんだ。


親戚のおばさんにとって私の気持ちはどうでもいい、
お母さんのことと、世間体のこと、
それだけが心配なんだ。


『良い人見つけて来るの大変だったのよ?
あなたのために頑張ったんだから』


おばさんは恩着せがましく私に言う。


『わかってるとは思うけど、私の顔を潰さないでね』


おばさんはそう一言言って微笑んだ。


そんなこと言われたら断れないよ・・・


だから私は気の進まない、
お見合いを受けることにしたんだ。