どうしよう、と思う間もないくらいの、事に。 雅はなすがままに、体を強ばらせた。 口の中を、舌が探る。 「………ぅ…ん…っ」 ようやく、彼の肩を押し戻せば。 彼の舌の上に、さくらんぼの、種。 「種は、出すものだよ?」 ね? と、薄く笑う、唇。 顎に掛かったままの、手。 外れない、視線。 茫然と、その視線の中で、泣くでもなく見上げたままだった雅に、何を思ったのか、彼は。 あからさまに、再び唇を、寄せた。