雅はどうしていいか、わからずに。 ただ、無造作に座り込んで、格子に寄りかかった“凱司の父”とやらの服が気になって、しばらく、おろおろと行ったり来たりしていたけれど。 バスタオルを1枚持って、強化ガラスのドアを、出てきた。 「あの……お尻…汚れますから…敷いて下さい」 「ああ、ありがとう」 素直に立ち上がった男のいた場所は日陰だったから。 雅はひざをついて、バスタオルを敷く。 「じゃあ、お嬢さんも隣に」 その上に再び座って、足を投げ出した彼は、躊躇うことなく、雅の手首を、引いた。