大きな、七夕飾り。 歩く度に顔に触れそうなくらいに飾りは大きく、長く、下がっている。 雅は、行き交う華やかな浴衣姿の、同年代くらいの少女たちを見ながら、ゆるゆると、ぼんやりと、歩いていた。 綺麗だけど、と、雅は苦笑する。 こんなに寂しいとは思わなかった。 見上げた空は、明るくて。 夕立でも来るのか、すぐそばに真っ黒な雲が迫っていることに、どきり、と心臓が鳴った。 雷は…鳴るだろうか。 雨は、強いだろうか。 こんなに暑くて、こんなに人がいて。 ひとりぼっち、で。