そうなったとして…
千佳花が彼を手放す事はないと思う…
男同士が云々の問題じゃなく…

千佳花が誰を愛そうと勝手だ。

それでも、兄である俺はその愛を
止めなければならない

薫君も千佳花も辛い思いをせずに別れる為に

現に薫君の弟さんは
伯父さんの家に
行ってしまったそうじゃないか…

薫君も兄なら分かっているはずだ…
今は千佳花の側にいるんじゃなくて
弟さんの側にいるべきだと…

本当は迷っている筈だ…

千佳花に側にいるべきなのか…
家族を大事にすべきなのか…

その迷いが…
いつか薫君に負担を与えるはず
千佳花に近付けば近づく程
家族とは滅多に会えなくなるだろう…

「君はいい子すぎる…」


さっきからそうだけど無表情…

でも不思議と表情が分かる…
悩んでいるその顔も

周りから見れば、無なんだろう?
その表情を取り戻せるのは
千佳花じゃなくて…



弟さんなんじゃないかい…?