「薫…」
「父さん…」
「薫っ…」

父さんが俺に手を伸ばす
でも、俺はビクッと身を屈ませた。

痛い、辛い、苦しい、もうやだ…

「すまん…薫…最後に挨拶に来たんだ」
「挨拶…?」
「薫…許してくれ…」
「な…に…」

父さんが不気味に笑う。

俺はぞくっと肩を震わせる。

「俺が…お前の父親を殺した!」

は?

なんて言った…?

「お前は、記憶がないんだよ!
俺と守琉が家にくる前の記憶がショックで全部ねーんだよ!」

記憶がない…?

「お前アルバム見たことあるか?
見たことねーだろ!?」

確かにそうだ…
俺はアルバムどころか…
小さい時の記憶がなかった…

じゃあ…あれは俺が千佳花を忘れて居たんじゃなくて…

「全部…ショックで…」

記憶がなかっただけなのか…