でもやっぱり千里の表情は明るくならなくて。



「だって……つらいじゃん……」



泣きそうな顔をする千里。

俺のことで泣くなんて
本当にバカだよ。

そんな顔するなよ。


「……千里は、バカだね」


こんな俺のために、涙を流そうとしてるの?
そんなの、バカだよ。


「……バカは、アンタ。
そんな顔で……笑わないで」



「……!」



千里は泣きそうな目で俺をみた。

……バカは、俺かぁ。

……ホンット、敵わないなぁ。



「……じゃあ」


涙を隠そうと俯いた千里に声をかけた。

顔を上げる千里。



「………?」



不思議そうな顔の千里。

俺は口を開いた。



「千里に慰めてもらおうかなー」



「……えっ」




驚く顔も愛しくて……


失恋はもう一つの物語の始まり……。



―もう一つの物語―
*end*