「いいえ、あの時は本当、助かりました。 あなたのお陰です。 あのままだったらどうなっていたか…」 でも結局はこうなってしまった。 彼は彼女が助かったと同時に、 自分が助けなかったことでいろんな意味で彼女を失った。 そして居場所まで失った。 それもこれも全部… 「全部全部、わたし"所為"じゃない」 「そんなことないです。 あなたの"お陰"です。 …僕は大丈夫ですから」 大丈夫なんて、嘘。 わたし嘘をつくのも見破るのも 得意なんだから。