モッテリア

バニラシェークをずずっと吸いながら、

相変わらずムッツリとした羽鳥の顔を見上げる。

メチャでかいコーラを一気飲みした彼は、


「事後承諾で悪いけど、

 俺ら付き合ってることにしてくんない?」


とぼそりとつぶやいた。


「ヘ?」


「しばらくでいいよ。

 好きになってとか言わないから。」


「ちょ、ちょっと待ってよ!

 話、見えないんですけど!」


「ある人の前で

 俺らが付き合ってるってフリをして欲しいいんだ。

 俺が言うことに頷いていりゃあいいからさ。」


「ええ?できるかなあ?」


「食ったよな、俺の食券で俺の昼飯。


 食ったからには、それなりの働きしろよな。」


「うっ。」


「本当に付き合わなくていいから。


 今だけでいいんだから。」


「え~やだよそんなの。」


「ふ~ん嫌か?

 嫌なら残りの食券と、

 今日食った分と、そのシェイク代払えよ?」


意地悪そうに目を釣り上げ、迫ってくる羽鳥に押されて、

と、いうより、払うお金のないあたし。


黙って頷くしか選択肢はなかった。



「わかった。フリだけだからね。」



「よしよし。これは契約だからな。

 ギブ&テイク いいよな。」


ギブ&テイクか、

しょうがない背に腹は変えられない。

あたしは羽鳥の条件を飲むことにした。

こいつ、Sだな…攻め決定!